愛しのババア

最近、ばあちゃんのボケがすごい。年寄りだからとわかっているから、せめてここでだけ、彼女のことをババアと呼ぶことにする。

 

今日だって、数か月前に買った老眼鏡をなくして、どこに置いたか、誰かにとられたんじゃないかと母ちゃんとひと悶着。特注の5.0老眼鏡、取ったって誰も使えっこないのは分かっているだろうに。

 

 

 

怒号が飛び交うお茶の間で静かにお茶をすするのは慣れたものであるが、やはり私も人の子、虫の居所が悪い日もある。

 

「あんたどっちの味方なの」なんて聞かれれば、さすがにカチンときて自室に逃げ込む始末である。ああ、ババアよ、どちらに味方してもおれの立場はないということは分かっているだろうに。

 

 

 

そんなババアも84歳、誕生日を祝う年齢でもなく、墓場まで一直線だと笑う。おいおい、ブラックジョークは笑えんぞ。

 

とは言われながらも誕生日、なにもしない訳にもいくまい。すしの出前と、好物のフライドチキンでちょっとした誕生日会を開く。

 

今年はちょっと奮発して、ブランド物の財布を買ってやった。なかなかの笑顔。そして、年のせいで細くなった食欲からは予想できないほどのフライドチキンへのがっつき。ああババアよ、どうしてそんなに憎めない人なのか。